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在宅勤務の現状と問題点は?具体的な解決策を紹介
コロナ禍をきっかけのひとつとして急速に導入が進んだ在宅勤務。感染症対策のひとつとしてだけでなく、交通費の削減やワークライフバランスの実現などメリットの多い働き方ですが、問題点もあります。在宅勤務の問題点と解決策について解説します。
2020年のコロナ禍における緊急事態宣言を機に、在宅勤務を導入する企業が急速に増えました。しかし、緊急事態宣言が解除された後も在宅勤務を続ける企業がある一方で、やめる企業も多く見られます。在宅勤務には、企業が続けにくい問題点があるのでしょうか? 今回は、在宅勤務の問題点を企業側・社員側に分けて紹介し、その解決策を考えていきます。
なお、在宅勤務とは「テレワーク」の一種です。テレワークは仕事をする場所によって「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「モバイル勤務」に分けられますが、感染症対策として導入されたテレワークは在宅勤務が多いと考えられます。この記事では、在宅勤務とテレワークをほぼ同義で扱っています。
在宅勤務の現状
統計調査の結果をもとに、在宅勤務の現状について見ていきましょう。
総務省資料「テレワークの最新動向と総務省の政策展開」に東京商工リサーチのアンケート調査をもとにしたテレワーク実施率の推移が掲載されています。
新型コロナウイルス対策としてのテレワーク実施率は、2000年3月2日〜8日の調査では17.6%でしたが、緊急事態宣言が解除された直後の5月28日〜6月9日調査では56.4%に上昇しました。しかし、6/29〜7/8調査では、再び減少し、31.0%になっています。
また、「在宅勤務・リモートワークの調査時点での実施割合」を見ると、6/29~7/8調査で「実施したが、とりやめた」が、中小企業で26.2%、大企業で29.71%となっており、一度取り入れたにもかかわらずやめた企業が相当数あることがわかります。
在宅勤務にはたくさんのメリットがあります。感染症対策になるだけでなく、通勤が不要のため交通費の削減になるうえ、生産性が向上し、ワークライフバランスを実現できます。しかし、実際取り入れるとなると、どのような問題点があるのでしょうか?
在宅勤務の問題点
在宅勤務で起こる問題点に関して、会社側と社員側に分けて解説します。
会社側
既出の総務省資料「テレワークの最新動向と総務省の政策展開」に、東京商工会議所が実施した調査に基づき、在宅勤務の問題点について掲載されています。
そこには、「テレワーク導入にあたっての課題」について、「テレワーク可能な業務がない」を除き、 「社内体制の整備」、「ハードの整備」、「セキュリティ確保」が挙がっています。
一つひとつ見ていきましょう。
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社内体制の整備
テレワークに即した勤怠管理体制ができていないことが、問題点の一つと考えられます。テレワークの導入範囲が定まっていない、テレワーク時の社員の進捗状況が把握できない、評価の仕方が確立できていないなど、社内体制が不十分なままテレワークを導入すると、社員の管理が不十分になります。
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ハードの整備
パソコンやネットワーク関連の設備、その他オフィスに当たり前にある設備が自宅にはなく、テレワークがスムーズにいかないケースがあります。
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セキュリティ確保
社内ほどセキュリティの安全が担保されないことも問題点のひとつです。
社員側
社員側の課題については、主に次のような問題点が考えられます。
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コミュニケーションの不足
上司や同僚と対面でのコミュニケーションができないため、不安感や孤独感が増したり、会社への帰属意識が希薄になってしまったりする人がいます。また、仕事の適切な指導が受けられず、業務に支障をきたす場合もあります。
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オン・オフの切り替えが難しい
プライベートな空間と仕事場が同じ空間であるため、オン・オフをうまく切り替えられないケースがあります。仕事に集中できず、業務効率が低下するおそれがあります。
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設備が不十分
自宅はそもそも仕事場として設計されているわけではないため、オフィスのように設備が整っているわけではありません。そのため、業務の遂行に支障をきたす場合があります。
在宅勤務で起こりうる問題に対する解決策
上記に挙げた在宅勤務の問題点については、次のような解決策が考えられます。
<会社側の解決策>
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社内体制を整えるためのルールの制定やシステムの導入を行う
始業時間、終業時間、休憩時間、始業時・終業時の報告方法などについて、在宅勤務時のルールを制定します。予算が許せば勤怠管理システムの導入も検討するといいでしょう。また、報酬や評価の方法、発生する費用の負担の明確化も、あわせて行う必要があります。
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セキュリティの問題を解決するために対策を講じる
セキュリティの問題に関しては、社員任せにせず、会社主導で解決策を提示することが重要です。セキュリティガイドラインやルールの策定、社員へのセキュリティ教育、セキュリティソフトの採用、データの暗号化など、できる限りの対策を講じましょう。
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コミュニケーション不足の解消のためにツールを活用する
コミュニケーション不足を解消する方法としては、チャットツールやWeb会議システムなどの利用があります。無料で利用できるサービスや、機能が豊富な有料サービスなどさまざまな手段があります。機能、使いやすさ、予算、使用する人数、セキュリティなどを考慮のうえ、自社に合ったものを選ぶといいでしょう。
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設備の問題を解決するためにサテライトオフィスを用意する
自宅での設備の問題を解決するため、社員が本社や支社よりも通いやすい位置に、設備の整ったサテライトオフィスを用意する方法があります。社員が自宅では集中できない場合に気分転換を図ることもでき、他部署の社員とコミュニケーションを図る場にもなります。
<社員側の解決策>
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家族に協力してもらう
自宅で仕事をするには、同居する家族の協力が不可欠です。仕事中は声をかけない、来客があれば対応してもらう、テレビの音を小さくしてもらうなど、協力を仰ぎます。
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ビジネス専用のスペースを用意する
できれば、ビジネス専用の個室を確保します。物理的に不可能で、例えばリビングの一角にスペースを確保する場合は、移動式家具や衝立、パーティションなどで仕切り、ビジネス専用のスペースをつくります。会社にいるときのように、就業時間中はその場所で仕事に集中し、休憩時間はそこから離れるなどしてメリハリをつける工夫もしましょう。
在宅勤務に応じて柔軟な働き方を検討しよう
在宅勤務にはワークライフバランスの実現や、育児・介護などとの両立、通勤ストレスからの開放など多くのメリットがあります。今回のコロナ禍のような非常時だけでなく、平時にも取り入れたいと考える人も少なくないでしょう。
在宅勤務をスムーズにするためのルールの制定やツールの導入、サテライトオフィスの用意など、できる解決策を講じて、在宅勤務を含めたテレワークの導入をぜひ成功させてください。
なお、サテライトオフィスを従来型賃貸オフィスで用意するとなると、大きな初期費用が発生します。おすすめなのは、敷金・礼金などがなく、仕事に必要な設備が整ったシェアオフィスの利用です。
利用する社員の人数や予算、使い方に応じてプランを選ぶことができるのがシェアオフィスの大きな特徴です。また、設備のメンテナンスや、清掃、備品の補充などは施設のスタッフが行うため、総務部門に余計な業務は発生しません。